桜とサクラ

  • 2015.04.08 Wednesday
  • 14:00
3月初め、町のあちこちで沈丁花が咲いた。蓮ちゃんが帰って来た後ぐらいだった。
沈丁花は、お家の庭や玄関先によく咲いている。歩いていて匂いが通り過ぎるときにふわぁ〜とする。ふわぁ〜としてから振り返る。振り返って姿を確かめる。
塀の向こうや生け垣に隠れ、その姿が拝めない場合もある。その匂いは何かくすぐられるように胸の奥をぢんぢんさせる。ぢんぢんするから沈丁花であるとも言える。

沈丁花には、赤いのと白いのがある。ラジオでくるりの岸田さんが「赤いのと白いのと、それぞれ匂いが違うように思える。皆さん今度確かめてみてください」と言っていたのを思い出す。
薄さ濃さで言えば、白いのが匂いがうすくちで、赤いのが濃口のように思える。赤いのが結構長いこと咲いていたように思う。

沈丁花が咲き、次いで白木蓮が咲き、そろそろ桜やなぁ、いう頃。
…桜、桜、…そういえばサクラは桜が由来であった。白雪かまたオオシマ桜といったまっしろな体で、蓮ちゃんと揃って寝ると、碁石かオセロか陰陽のマークみたいだ。

サクラは蓮ちゃんの留守中は、ぼくにべったりの甘えたであったが、蓮ちゃんが帰って来ると、入れ替わりに蓮ちゃんがぼくにべったりになり、サクラはさびしく離れていた。

いつもサクラはよく喋っていた。
餌がほしいやら、かまってくれやら、外行ってきたやら、何でもよく喋っていた。
それが蓮ちゃんが帰って来て一週間ぐらいして、ストレスだったのだろう、サクラの声がまったく出なくなった。
それでも出そうと振り絞り出るのは、か細いガマガエルの鳴き声のような情けない声。自分でもわかってるのか顔が悲しい顔になってる。

蓮ちゃんの具合に構い過ぎてたら、サクラがおかしくなってしまった。バランスが大事である。
サクラを励ますよう、小まめに話しかけてたら、だんだん声が戻ってきた。

桜が咲いた。

台所から裏庭につながる土間のあたりにサクラが出てきて喋りかける。

「日なたぼっこしよ〜」


トコトコ歩くのに、ちょっとついて行くと振り返り、

「撫でてくれ〜」と喋る。


コンクリートの地面の上に、ころころ転がるサクラが咲いた。





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