銀紙の先にある

  • 2015.05.04 Monday
  • 06:16



壁に貼ってた写真や紙を剥がす。引っ越し作業の途中に部屋を出た。

あからさまに喉の渇き抱え、前からぬめりへばりつく風に逆らいつつも鉛のような足を運ぶ。

地面には落ち葉舞い散り、ときどき張り巡らされた枝先をぽきぽき踏みしめ、幾筋も路地を越え、幾筋も路地を越え…。
漠然と温泉街に出た。
出店が賑わう。
すれ違う「何々直産の喉飴いかがですか〜」の声にそそられることにかすかな希望を見つけたようにふと見上げた。
そうなのだ。やがて満たされるだろう仕合わせは、忘れ去られ吊り下げられた、この銀紙の先にある。


部屋へ帰ると壁はすっきりしていた。
三人の仲間が片づけてくれていた。
一人が「○○ちゃんがほとんどやってくれたで。壁の写真見て、懐かしいってぽそって言いながら剥がしとった」と言った後、段ボール箱から金銭管理ノートを取り出しぱらぱらめくり、「あの時はきっちり納めて、しっかり楽しゅう呑んどったな。いまはきちきちで時化た顔して、世も末か?寄る年波には勝てぬってか?」とチクリとつぶやくのに答えが出ず、傍の布団に横になる。


枕に置いた頭の奥、遠く、弱く、貨物列車の車輪の軋みがこだまする。
夜道の片隅、漂うように咲く花が窓から忍んで鼻先で香る。
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