谷町座、舞台の稽古、クイズ番組

  • 2017.02.18 Saturday
  • 09:30
○目的地までの俯瞰図をさっと見た。
黒い点が、●であり、●のそばに駅名と同じポイントが、●天満橋 ●谷四 ●谷六 ●谷九 ●あゝ次なんだっけ、という具合に描いてある。

川沿いの土手にある花壇を縁取った生け垣に丸太がずーっと土に刺さってある。
ぽんぽん続く丸太の小口の上を足場に歩いて進む。段々畑を下るみたいにだんだんになったり、アスレチックな上りになったり。時折、直角に左折し、次は右折し、だんだんが二段飛ばしになったり。
前に歩く人が片手に本を持ちもたもたしてるので遅いし迷ったりもするので、ちょっとイラっとしてるのに前の人がようやく気づいたらしく立ち止まるのを追い越して先を急ぐ。という自分も右手にくるみパンを手にしていて実に横着なのだが調子よく歩いてる。

地図上の ● 谷九 の先に、あゝ次なんだっけ、そこにたしか学校があるのだ。
丸太の小口の上を越えたら、飲食店のカウンターのうえをぽんぽん歩いて進む。カウンターの上には雑誌が積み上げられてたり食器類が乱雑にあるので注意せねばならない。
似たような道が左右に通って何本も続く。見覚えはあるのだが、まだ先か。もう、そろそろ左に曲がりたいけど左に曲がる道を過ぎてしまったのか、同じような工場が続く。
後ろに、さっきの本を片手に歩く人を含めて二、三人が進行方向を共にして歩いてる。目的地がどうやら同じ学校のようだ。
目の先の奥に高速道路の高架がどす暗くぼんやり見え、このままだと行き止まりだ、というとこで印刷工場に入る。
印刷工場は完全に袋小路で、あゝ袋の鼠、ぼくらは袋の中の印刷工場で働く鼠か、働くチュウ学生か。
後続の二、三人も工場の中に入ってしまい焦っている。勝手についてくるからいけないのだ、みんなとはづかし顔で引き返そう。

しかし複雑な通学路だな。
もう一度、頭の中で俯瞰図を思い出す。●天満橋 ●谷四 ●谷六 ●谷九、●あゝ次なんだっけ、らの ● は、よく考えたら歩いてきた道のりの形状から考えても真っ直ぐの配置でなかった。谷町筋に沿ってなかった。
そういえば、● はギザギザにあり、それらを線でつないだら星座ができそうな地図だった。
さしずめ谷町座か。
谷町座の、「あゝ次なんだっけチュウ学校」はどこにあろうか。印刷工場の入り口で思う。
…そんな夢を見た。



○舞台の稽古を始めてる。
顔合わせがあり、読み合わせをした。内容は時代劇のようなそうでないような。 稽古場は真っ暗で、相手の顔もぼんやりしか見えなくて、台本もうっすらしか見えなくて。
ともあれ舞台の稽古は始まった。
…そんな夢を見た。



○クイズ番組の収録をしてきた。
毎週続くレギュラー番組。メンバーはほとんど吉本の芸人さんの中、今日は一問だけ、ボタンを押して、答えたけど、間違えた。

テレビ雑誌をぺらぺらめくってると、そのクイズ番組のことが見開きで載ってるのを見た。
そばにいた妹に、「来週から始まるクイズ番組に出るんや。ひょっとしたら大金が入るかもしれんで」とか言って、ぺらぺらのテレビ雑誌の記事を見せようとするが、頁をぺらぺらめくって見ても、ちっともその記事が出てこない。「おかしいなぁ、さっき写っててんけどなぁ」言うて、ぺらぺらめくってる。
…そんな夢を見た。

おゝハッピーデイ

  • 2017.02.14 Tuesday
  • 04:05
GPP「Actor,Actress,and more」 2月10(金)〜12(日)大阪市立芸術創造館
無事に終演しました。
約1か月間、演出の泉さん、はじめ共演の皆さん、スタッフさんに大変お世話になりました。
ご来場いただきましたお客さま、有難うございました。


VOGA「Social talk」の舞台を終えてから直ぐ稽古に参加し、初めてのコメディ、新しい刺激だった。「Actor,Actress,and more」、#アクアクは、どきどき、アクアクの連続だった。
客席から笑いがどっかん起こることに舞台袖で震えた。ダブルコールの時のフリートークでモノマネをふられたのが怖い夢の中にいるようだった。結果的に楽しみ過ぎるぐらい楽しめた。


ホーンテッドガールで一緒だった皆さん!

☆空気を上手に読み取るなぁ。変わった動きやさりげないユーモアで和ませてくれ、一緒に悲しい顔や嬉しい顔で向き合う場面がいつも居心地よかった、
佐々木ヤス子ちゃん。

☆可愛いのにドスのきいた声というのがマッチしてた。瞬間的に整理して次にずばっと出すのが巧みだった。一番年少なのに頼もしかった。居酒屋まんまのエリンギを実に美味しそうに食べていた、
三原悠里ちゃん。

☆身体全体から言葉が生き物のようにほとばしる、弾けだすのに驚いた。前へ向かう姿勢の横顔が輝いてた。距離と間合いの大切さを感じさせてくれた。エネルギーをチョコレートで補っていた、
丹下真寿美さん。

☆最初の頃にカゲちゃんと呼んでくれ、初めてほっとさせてくれた。ありのままの姿で、落ち着かせてくれた。最後の「聞こえてるわよバカ娘ども」に温かさと実感があって、じんとしていた、
中村ゆりさん。


トランプで言うたら、jokerみたいなぼくを迎え入れてくれ、ヒデキ感激、ありがとう。またの共演を夢に見て…
皆さんと、時にきびしく時にあたたかく苦楽を共にし、最後はハッピーデイな大団円だった。
ほんまに毎日おゝハッピーデイ…
なんやかんやなさみしさがガタガタと帰りの快速列車で加速していた。

劇中、頑固だった父マックスが娘たちとの仲直りのしるしに、映画「天使にラブソングを2」でも感動する Oh happy day を、修道服を着て歌い出すという飛び道具的な機会を与えてもらった。
歌、大丈夫かなぁと思ってたところ、演出の泉さんから、歌うことよりも、娘たちに語りかけるようにお願いします、と言われ、 ある女優さんが初めてミュージカルに出ることなったときに先輩の草笛光子さんから「あなた、歌は台詞と同じように語りかけなさい」と言われた というエピソードと、しっくりシンクロし、なんだかふっと気持ちが楽になった。
…ってことで、歌を自分にしっかり、しっくり寄せようと、自分なりに意訳(誤訳?)し、その言葉をめぐらせながら舞台に立ってた。語りかけた。
幸せだった家族の日々のありがたみに気づかされた父が娘たちに語りかけていく。

以下の文がそのカゲロヲ意訳ですが、よかったらOh happy day を聴きながら楽しんでください。



Oh happy day
あゝ 幸せだったな

Oh happy day
あゝ 幸せだったよ

When Jesus washed
汚れちまったシャツを洗おう

When Jesus washed
ついでに心も洗おうよ

Jesus washed
洗って干して乾かそう

Washed my sins away
乾かすためには光が必要

Oh happy day
…幸せな光

La, la, la, la, la, la, la, la, la
ララララ笑おうよ

La, la, la, la, la
笑っておくれよ

La, la, la, la, la, la, la
ララララ出かけよう

La, la, la, la, la
行かないのかい?

Oh happy day (oh happy day)
幸せな光

Oh happy day (oh happy day)
幸せな日々よ

When Jesus washed (when Jesus washed)
汚れちまったシャツを洗おう

When Jesus washed (when Jesus washed)
ついでに心も洗おうよ

When my Jesus washed(when my Jesus washed)
洗って干して乾かそう

He washed my sins away
幸せな光で

La, la, la, la, la, la, la, la, la
ララララ笑おうよ

La, la, la, la, la
出かけよう

He taught me how (oh, He taught me how)
ひ、と、み、に、光!

To wash (to wash, to wash)
あ、ふ、れ

Fight and pray (to fight and pray)
出かけようよ

Fight and pray
出かけよう!

And he taught me how to live rejoicing yes, He did (and live rejoicing)
楽しく、 笑って、歌って

Oh yeah, every, every day (every, every day)
毎日、毎日

Every day!
毎日!


皆さんの光あふれるハッピーデイをお祈りします。

追伸
修道服で出番直前の姿を撮ってくれた伊藤駿九郎君、加えて言うなら同じく帰り道いつも一緒だった演出助手の小山雄太君、同じく最寄り駅まで一緒だった宮坂美帆さん、話しながら気持ちがほぐれて明日も頑張ろうと思う帰り道をいつもありがとさんでした。

しょにうち

  • 2017.02.11 Saturday
  • 03:45
GPP、初日が無事に開けた。
降り始めた雪と飲み過ぎが心配でひとり帰るとこ駅で共演者と会い缶チューハイでささやかに乾杯した。
初日打ち上げのことを、「しょにうち」と言うそうな。ぽそっと初めて言ってみた
‘しょにうち’
初めて口にしたことをここに記す。


雪の帰り道、ふと携帯のメモファイルのハッとした時メモを何気なく見返した。
〈7/14夜 ラジオ深夜便で〉
山崎努さん。
好きな食べ物は、ぬか漬け。
朝イチに必ず便を出す。
自分を出すより、自分を隠すことに興味がある。 しいていえば、ユーモアを意識する。ユーモアは自分の演技に距離をとれる。
常にゼロから。
白紙に戻す。
引き出しは嫌い。
いつもアマチュアでいたい。何故かというと、人間はなんにもわかってない生き物だから。
人間というのは人生のアマチュア。 わからないことを楽しむ。
役と自分の関係だけ。
俳優のイメージには無関心。

…山崎努さんが話してる言葉の断片をメモしていた。
いまの自分に照らし合せてみる。

明日も舞台が待っている。
自分や周りの人を信じて立てる舞台が待っている。
充実している。

蓮ちゃんがかまってくれとタンスの上から見下ろしている。

お腹から胸の上にサクラ、腕まくらに蓮ちゃんの猫暖房で眠る。

本日初日

  • 2017.02.10 Friday
  • 10:26
GPP本日初日。

晴天の空に小雪がチラチラ。初日は期待と不安がさまざまな割り具合で胸の中にある。今日は七:三くらいかな。


厳格で古臭い父親のマックス。
初めにマックス像をイメージしたとき何故かDrスランプの則巻千兵衛をふわっと思った…。
今回出演の皆さんとは初めましての方ばかりなのに、外の寒さと裏腹にやさしく煮込んだシチューを思わす温かさで迎え入れていただき、ヒデキ感激でした。
ホーンテッド組は女優揃いで、男一匹馴染んでいけるか心配でしたが、煮え立つうどんに揚げをのせるよう、身体と声をえいっとのせたら心地よく心配なんかすぐにどっかに吹き飛びました。 時にやわらかく時にさりげなく転んだり立ち上がったり祈ったり唸ったり、良かったり悪かったり含め目と目でパチパチ通じ合う、そういう仲になれたかな?
演出の泉さんは脳外科医がさらさらスケッチするようにダメだしをさらさら書いています。
古道具屋のご主人のように腕組みしてるプロデューサーの前田さん。
脚本の二朗松田さんは静かなる林の如く。
音響さん照明さん舞台監督さんスタッフさん、幕が開いたらお客さんの眼差しが加わり交差し織り成す舞台。
泉さんが始めと終わりに手をパンと叩きます。この手の鳴る音に気持ちがいつも引き締まります。

「笑いは緊張と緩和 by桂枝雀」
…あゝそうだ、泉さんは脳外科医というよりも、張りつめたり緩めたり、一音一音確かめる調律師みたいかもしれません。
この舞台での出来事が皆さんの記憶の底にいつまでもこびりつきますよう。
ご来場お待ちしております。

Actor,Actress,and more

  • 2017.02.02 Thursday
  • 10:25

色とりどりの魅力たっぷりの皆さんとご一緒に。さて私はどこにいるでしょう? GPP「Actor,Actress,and more」 2月10(金)〜12(日) 大阪市立芸術創造館
ご予約→ ticket.corich.jp/apply/79904/ka… (草壁)


是非ご来場ください!

俳優の仕事

  • 2017.02.01 Wednesday
  • 10:35
公演で出た端材をゴミ捨てに行く。

ゴミ捨てに行った先の係りの人とのやり取りに現場って感じの新鮮な気持ちを思い出した。


「俳優の仕事は人間を一人つくることである。行動を積み重ねてつくり上げる」(永井一郎)…我々は日常においても人間をよく知ることから逃げてはならない。

冬の夜

  • 2017.01.28 Saturday
  • 10:45


酒粕から甘酒を作った。意外に初めてだった。
ひとり鍋
侘しさと至福
入り混じり


冬の夜
猫とストーブと
ラジカセと猫


あらびっくり
蓮ちゃん ひょっこり
かくれんぼ

冬の夜と言えば、エレカシの「冬の夜」が好きだ。

Social talk

  • 2017.01.14 Saturday
  • 06:58


今朝は昨日より冷えて感じる。
寝床のそばのストーブを点けた。
枕元に猫が寝ている。
だいたい明け方に夢を見る。
その夢に出てくる人が、今日の吉兆を占う。
今日も夢の中の呑み屋の設定で大事な人に会えて、起きて、すっきりした気持ち。
寝る前の酒も飲まず、頭もちょっとすっきり。

昨日、無事に初日が幕開けた。
朝、外に出てしばらく歩いた小さな川でトラックから下りてくる倉庫の家主のお父さんと目が合い挨拶した。
その先で、小さな家に住んでる小さなおばちゃんが道端に洗濯もんを干しているのを見かけた。
二人には常日頃から何か天使みたいな純粋さを感じている。だから勝手に天使のおっちゃん、天使のおばちゃんと心の中で呼んでいる。
天使に二人も会えた日は間違いなくいい日なのだ。
さぁ、今日はどうだろう。

昨日、初日を通して「Social talk」、いい作品だなぁと、実感が湧いた。
近藤和見の脚本、演出、音楽、振付が冴えている。 演者、スタッフが頼もしい。劇場空間がいい。
いろいろきびしく突き詰めてることの体現ができ、見えてきたものが大きいなぁと感じ、これはたくさんの人に観ていただきたいなぁと思っている。

役者たちの踏ん張りに互いに影響し合い、高めていく。
スタッフのしっかりした動きで運ばれる舞台に飛びこんでいく。
さらに、客席のお客さんに包まれて、世界が広がる。

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VOGA第13回本公演『Social talk』
〈演出〉近藤和見

[日程]2017年1月13日(金)〜16日(月)
[会場]京都府立文化芸術会館

[公演日時]
13日(金) 19:00
14日(土) 13:30/19:00
15日(日) 13:30/19:00
16日(月) 19:00
受付開始は開演45分前/開場は開演30分前

[チケット]
〔一般〕前売/4,500円 当日/5,500円
〔学生〕前売/2,800円 当日/3,800円
〔ペア券〕前売のみ/8,400円(同日使用のみ)
〔半券割〕2,500円

[チケット購入方法]
・VOGA Webshopにて
http://voga.base.ec/

・イープラスにて
http://eplus.jp/

・メール予約
info@lowotarvoga.net
?お名前 ?お電話番号 ?日程 ?枚数 ?券種をお書きの上お送りください。

〈Cast〉
草壁 カゲロヲ
うめいまほ
渡辺 綾子
西村 麻生
小森 ちひろ
長谷川 りか
今道 鮎美
佐藤 敦子(以上VOGA)

岩本 苑子(少年王者舘)
寺岡 千尋
久保 健太
石井 歩
東 洋(東洋企画)
笠原 湧
戸梶 泰志
國枝 千尋(劇団六風館)
福本 純里
安田 成穂

〈Drums〉
竹内圭

〈staff〉
脚本・音楽・振付=近藤 和見
舞台監督=冨田 聖夫
演出助手=タナカ・G・ツヨシ
美術=多賀 慧(劇団「劇団」)
美術協力=松本 謙一郎
テクニカル・アドバイザー=大沢 安彦(RYU)
小道具=今道 鮎美
照明=高円 敦美
音響=田鹿 充
SE=甲田 徹
映像=吉光 清隆(PLAYSPACE)
映像アシスタント=古賀 睦
衣裳=山口 禮子
宣伝美術=森宗 香土巳
情宣写真=酒谷 薫(SARUGRAPH)
記録映像=株式会社虹映社
記録写真=井上 嘉和(株式会社 井上写真事務所)
児島 功一郎
制作協力=伊藤 豊
平井 陽(地球は丸い)
仲島 義人(地球は丸い)
岡野 万里子
協力=ALL NEW COMPANY
artical-inc
制作=永井 ゆきこ
統括=水波 流
プロデューサー=齋藤 秀雄

[主催]
VOGA

[協賛]
共立メンテナンス
Lepton

[後援]
KBS京都
工房 枡屋儀兵衛
ART COMPLEX

[制作支援]
京都芸術センター
芸術創造館

[共催]
株式会社ISSO

CLOCK

  • 2016.10.14 Friday
  • 05:38
初めてのミュージカル。どうなるかと思いつつ、スロースターターだし8月の終わりくらいからちょこちょこ稽古に参加していた。もう秋。

演出するたかさきさんがいつも明るく迎えてくれた。
入ったら、皆さん気持ちよく挨拶してくれる。 京田辺の稽古場スタジオワンダーラーに向かうのはいつも新鮮な気持ちだった。
ぼくの草壁と同じ音の苗字の日下部遥さんと劇中のペアとなり稽古するのも新鮮な気持ちの要因のひとつだ。
二人では行動の動機づけを鮮明にすることを中心に動きを合わせた。


歌の練習も新鮮だった。
歌唱指導の有里さんがさらりとピアノを弾きながら、皆をまとめる。大らかで、ポイントははっきり言ってくれるので、すんなりと入っていけた。

振り付けは、金田さんが来られ、パパッと決まっていった。
覚えるまでなかなか時間がかかった。出演も振り付けもする池君にだいぶお世話になった。

稽古場はいつも元気いっぱいなお花畑みたいであったが、藤咲みどりさんが来られて、ひときわ美しい花が咲くようであった。



全体が見えてきて、身体に沁み渡るようにいっぱいのものを感じだした。その時々の心の置き所もはっきりしてきた。
たかさきさんは、「推進力を持ったものを」とよくおっしゃっていた。
他にも、いっぱい名言があり、ぼくはその言葉によく泣きそうになっていた。

いよいよ、明日から小屋入りし、明後日から本番が始まる。

皆のエネルギーを握りしめ、一回一回燃え尽きるように、しっかりとつとめたいと思う。

どうか、たくさんの人に届きますように!

『CLOCK〜トライアングルウォーズ〜』 10月15日(土) 13:30/18:00 10月16日(日) 12:30/16:00 文化パルク城陽 前売:2800円 当日:3000円 factory.one-darer.com

チケットお求めの方、連絡下さい。

松本さん

  • 2016.07.03 Sunday
  • 22:15
人間には、男がいて女がいる。動物には、雄がいて雌がいる。全部に、生きる命がある。そこに、儚さと美しさがある。
その大切さ、愛おしさを、ただただ、噛み締めたいという思いで、カゲロヲ という名を思った。

ぼくが、草壁 カゲロヲ って芸名を考えたとき。
かげろを は、自分で用意したまんまで、名字は、ひのもと って今考えたら浅はかだが考えていた。松本さんに伝えると、「維新派でもたいがいやのに、日の本 言うたら、右の人らと間違えられてかなわんで」言うて、ワープロをカタカタ弾き、日のつく名字の関連で日下部 が出て、そこから、「おっ、これええんちゃうか」言うて、もうひとつ多くキーを叩いて変換で出た 草壁 がつくことになった。
あとで誰かに唐十郎が根津甚八って名前与えたのと同じような感じやなぁって言われたが、ありがたく思っていた。
のちに、ちょっとかっこつけて、草 壁 かげろを の文字の全てを含んだ斉藤茂吉の歌をあるとき見つけ、これから取ったんですわ、って言うときもあった→

壁に来て 草蜻蛉は すがりおり 透きとおりたる 羽のかなしさ


この 草壁カゲロヲ が生まれたのは、岡山県は津山市の菩提寺という山の中で合宿を行ってたときだ。

ある日、通常の肉体メニューの後に、松本さんが、「ひとりひとり、一発芸みたいな、なんか好きなことせえ」って言うた。

ぼくは、壁に背中当てて膝を曲げた、所謂、空気椅子の状態になり、好きなエレファントカシマシの 見果てぬ夢 を歌った。


空気椅子で、足がぷるぷるするのとサビの絶叫がうまくマッチした響きがあった。
終わってから、松本さんが、「おお、ええやん」って、言うてくれたような気がしてる。


ぼくが二十歳。出会ったころのその出で立ちは、丸坊主に上下ボーダー柄のスウェット姿で、ゆらゆらしながら要所要所でテキパキ動く牢名主のような大工の棟梁のようだった。

維新派、松本雄吉。

その頃は44歳で、今のぼくはちょうど同じ歳になったんやなぁ〜、ってたまたま最近ちょいちょい思い返すことがあった。

そのころは、美術スタッフをしていた。
初めは、大学の夏休みに園子温監督の元でロケハンなど映画の準備を手伝うことをしていたが、その映画の美術さんが維新派の美術スタッフでもあった縁で、東京の下町らしい雰囲気のある東向島のアトリエに作業を手伝いに通ってたのだった。
維新派、初の東京・野外公演。そびえ立つ東京タワーのそばにある汐留の、元は貨物の駅だった広い空き地で行う 少年街 の準備をしていた。
渋谷のパルコの駐車場でプレイベントをやるのでイントレを建てる作業をした。
夜中に仕込んだ。雨がざぁざぁ降った。
しんどいのになんか楽しかった。この感じは初めてやった。
プレイベントにはたくさんの人が集まった。本番は前から見てたが、ちょっとした事件であった。そうそうたる顔触れの映画人も見た。

ある日、園子温監督の映画の準備がストップした。(その映画は、ひそひそ星。25年を経た現在、完成する) 体が空いたし、どっぷり維新派の美術作業に加わることになった。

夏明けから始まる大学に休学届けを出しに行き、少年街の公演の裏方(本番つきスタッフ)をすることにした。
その決意を園子温監督に苦渋の有り様で伝え、短い間お世話になった監督の元を去った。

東京の空に雨が降り続いた。プレハブの隅に隠れるみたいに少しでも長いこと居眠りしてたかったぼくの横で、松本さんの叩くワープロのキーボードがカタカタ鳴って、作業に戻った。その時の松本さんは何も言わなかったけど、
後になって、あの頃のぼくの印象を「あん時お前はもやしッ子みたいやったなぁ」と語った。

番線の縛り方は、松本さんが「時計回りにキュってするんや」って、なんか、ちょっとやさしく教えてくれた。
たまに見せる大工の腕は手際よく、特に松本さんの作る階段は、パーツの組み方に無駄がなく頑丈でかっこよかった。

焼酎麦の湯割りを呑みながら、卓の上の茶碗を何気なく一緒に眺め、「この色は白といえば白やけど、なんで白って言えるんや、茶碗って名前がなかったらこれは丸い形の入れもんって呼ぶんやろなぁ」みたいなことを言うて、価値観を真っ平らにしてモノの本質を探るような見方にハッとせられ、あ、この人は絶対おもろいわ、って、好きになった。

恥づかしながら、好きになる女性のタイプはだいたい一緒やったような。
だから、松本さんは師匠でもあり、ライバルでもあった。新人のくせに問題児だったと思うが、思うままになんでもやってみる毎日が新鮮で刺激やった。

まだ初舞台も踏んでおらず、ぼちぼちと稽古に参加し出したころだったと思う。
大駱駝艦の麿さんが出る舞台を松本さんと先輩の由美さんについていき観た後、楽屋見舞いにのこのこついてったとき、松本さんのそばにいるぼくを見た麿さんが、冗談で「おお、松ちゃんの息子か」って、いなせな口調で言うのを聞いて、松本さんが「へへ、隠し子だんねん」って返し、ムフフって笑うお二人のあったかさとやさしさと、これから自分にも役者の道が始まるんやっていうワクワク感に身震いを感じてた。

裏方から一転、舞台に立ちたいって思ったのは、少年街の楽日のとき。
袖から、動いてる役者さんたちを見てて、ふと、あっ、この舞台に立ったらおもろいやろなぁ!って、思うと同時に雷に打たれたみたいな電流が身体に走った。そんな瞬間的な感覚だった。

新人として立つ舞台は、名古屋、九州、東京と、地方も回るツアーから始まる。場数もこなせるし、土地土地の人との交流も楽しかった、虹市。 キャチコピーもおもしろく、地球ハ回ル、目が回ル。
最後は、大阪、南港で締めくくる。

ザンザンザンザァザァ ザンザンザンザァザァ 雨降りのパーティー どしゃ降りパーティー スクラップパーティー…
やぶれノイズ ちぎれノイズ 赤カビ 青カビ 黒カビ 黄カビ…
スクラップポルノ という場面のセリフと動きが身体に一番しっくりきた。
ラストは、虹市 という場面でゴミの道を歩く少年らが虹を見るっていう場面だった。
虹市の楽日に、客席後方にあると想定する虹の向こうに、ほのかに埴谷雄高の本に出てきそうなイメージの宇宙みたいなんが見えた気がして、次の兆しみたいに思って、役者、ずっとやっていこうか、と思った。

オモロすぎて人生だいなしや というのは、少年街のドキュメント映画 蜃気楼劇場 のキャッチコピーであるが、ぼくはまさに、だいなしでもいい、って思って、大学もやめた。

稽古のあとに谷町六丁目の事務所から銭湯に近いお好み焼き屋に食べに行く時間が好きやった。
店のおばちゃんが鼻声で「はい、トマター」って出てくるトマトの入ったオムレツを最後のしめにいただくとき、「おお食べとけ食べとけ」ってタバコ吹かしながらビールを飲む松本さんの笑顔はお父ちゃんみたいやった。
何回か、松本さんと先輩のフルカワ君と銭湯に行った。フルカワ君は締まった筋肉をしていて、痩せて肉体には誇れるものがないぼくは身体を縮めてが、松本さんもどことなく背中を丸めて、湯船に浸かってた。けど洗い場の椅子の下からぶらっとのぞく金玉はめっちゃおっきかった。

おっきかったで思うのは、役者、松本雄吉と舞台を共に立てた経験はおっきかった。
一回目が、名古屋の白川公園で行われた、少年王者舘、てんぷくプロと維新派の合同公演 高岳親王航海記。
二回目が、維新派 nostalgia。
高岳親王を演る松本さんは、神々しかった。
松本さんが舞台でひとりでぽつんと走る場面があった。
初めに見たとき、なんか身体の内側からこみ上げるものが湧いて、震えて、気づいたら泣いてた。
心底、すごいなぁ、と思えた。
映画では、ビリケン に商店街のおっちゃん役で出てた。あと、追悼のざわめき で 声だけの出演で、めっちゃマイルドな声で、肉声というのはこういう声なのかもと、憧れる。
声の出し方は、腹から声をおもいっきりだす。というのを教わった。
いろはにほへと…を、

色は匂えど散りぬるを
わが世たれそ常ならん
有為の奥山 今日越えて
浅き夢見し酔いもせず

と正座で二人互いに視線をそらさず、謡のように声を出す、のや、フェードルのテラメェヌの一節を、伝統芸能のように口伝で教わった。
そのことは、ぼくの重要な基礎にもなってると思う。
役者を始めて、背筋が伸びるようになった。


松本さんが脚本を書くワープロを新しいのに替えたとき、ワープロのおさがりをもらったし、自分でも、ヂャンヂャンオペラの一場面でも書けないかなぁと、挑戦したが、挫折した。

ボツになる文章を見せたあと、松本さんは、「誰かに手紙を書くように文章を書け」って言うてくれた。その言葉は、いつも忘れてない。




前略、松本さん。

あなたはほんとにご立派 スリッパ ヨーロッパでした。
あなたの描いた言葉の数々、たとえば…エロ猫 ドラ猫 蓄膿犬 は、西成の町を歩きながら描いたと聞きました。
描いた とあえて言うのは、あなたは町をスケッチするように歩いて書いたからです。
あなたは、猥雑な町の路地の匂いから、小便の匂い 焼酎の匂い 樟脳の匂い と描きました。
カカァ 風邪ひき 漢方薬 髪の毛 カサカサ 牡蠣雑炊 カツ丼 カツレツ カッパ巻き…
言葉の並べ方で、こんなにもオモロイ景色が絵になります。
ぼくは松本さんの描く絵を、言葉を、なぞるように舞台で、約10年間、生かせてもらいました。
今も、眠るたましいを揺さぶるように言葉を放ち、誰かに声を届けたい 、動きたい、そんな役者でありたいと、思っています。

維新派でありながらも、Lowo=Tar=Vogaの旗揚げを認めてくださった松本さん。
雄吉 という、その名の通り、雄大な人です。
ぼくらの一回目のBar フィネガンズウェイクでのコントのようなライブ公演では、上演中、松本さんから何度も発せられる「あほ〜」という野次で、会場の温度を上げていただきました。けど終演後、ぼくが演ったラジオドラマ風の音と声と同時に障子紙に影絵を描くパフォーマンスについて、「ええんちゃう」って、ボソッと照れくさそうに言ってくれました。

二回目の瓢箪山稲荷神社野外公演では、楽日に足を運んでくれました。
それから、何年か後、ぼくらの10周年公演 新青年の公演の時が、ぼくらの公演を観ていただいた最後だと思います。

沢田研二の 危険なふたり をおどけて歌う松本さん。
両手を横につけて、ペンギンちゃん って踊るお茶目な松本さん。
屋台村で「まっちゃん、まっちゃん」って、周りの人たちに声かけられてた松本さん。その「まっちゃん」という響きは、太陽を見て、おてんとさん って言うのと同じような、親しみと尊敬の響きでした。

ぼくが維新派から離れてからも、ちょこちょこ舞台は観に行かせてもらってました。
最近の松本さんの演出される舞台は、ほとんど観てます。ますます、洗練された絵の空気感に圧倒されてました。
レミング の楽日、カーテンコールで出演者の後に、松本さんが出てきたとき、ほんとは、よっ!維新派、松本雄吉!って大向こうが喉まで来てるのに叫べなかった。唯一の悔いです。

松本さんが言った「日記は書かんでええ、手紙を書け」と「表現と行為の違いってなんや」は時々、思い返してます。
維新派のときの記憶の断片がねじれた夢で現れます。
ふと困ったとき、こんなとき松本さんやったらどうするんやろ、って時折思ったりします。

おそらく、ひとりでいててもろくなことなかったであろうぼくを、維新派を通じて、海に、山に、川に、海外に、連れて行ってくれました。

ほんとに大っきな存在で、人を、自然と自分の懐にうまいこと巻き込んで、愛されながら、まっすぐ太く生きてるなぁ〜〜、といつも思っていました。

松本さん。
ぼくは松本さんと出会ったときの同じ歳になりました。
出会ってからも25年。あなたは、町を、人を、歴史を、風景を…、ずーっと見つめ続けてきました。
逆巻く波のごとく人を巻き込んで、描きたいほんまの絵を描いてきました。
ほんまにすごいことやなぁ、ほんまにおっきい船みたいやなぁ、と思います。

松本さんと出会ったときと同じ歳のこれからは、あの頃のあなたの面影を追いかけるように、できれば、いつか肩を並べれるように、たぶん、ぼくなりにしかできませんが、イメージと生き様を大切に、上手に描こうとせず、立っていこう、歩いていこう、と思います。

松本さん。
あなたの居ない町は、どこかさわやかなからっ風が吹いています。
松本さん。
おっきい船の汽笛が、どこか遠くで、鳴るようです。
トーーヤーー
トーーヤーー…と。



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